化学メーカーの製造課ってどんな組織なのでしょうか?
製造=現場で力仕事というイメージはありませんか?
実は化学メーカーの製造課は様々なポジションがあり、みんなで支えあってプラントは運転しています。
でもそれは実際に入社してみないとわからないですよね…
ですから、この記事では実際に化学メーカーで運転員をしている私が製造課の組織がどんな感じなのか紹介します!
※もちろん会社によって異なるはずなので、「ウチはこんなんじゃなくてこういう感じ!」というのがあればコメントなどで教えていただければ嬉しいです!
化学メーカーの製造課はだいたいこんな組織
だいたいの化学メーカーの運転課はこのように組織されています。
もちろん課の規模などにより兼務だったりします。
化学メーカー製造課の各担当 役割【平日勤務】
それでは細かい役職の紹介をしていきます!
まずは平日勤務者から!
平日勤務者はプラントの運転をサポートする仕事をメインでします。
課長
製造課のトップです。
課長の最終承認がないとGO!できない作業もしばしば。
課のマネジメントをしていますが、私のような下っ端には詳しい業務は何をしているのかわかりません…すいません
課長にも2パターンあって
- 製造課で育って定年少し前にに課長になる生え抜きタイプ
- 大学院卒でよその課からやってきた出世街道40代前半タイプ
だいたいこのパターン。
最近は世代交代してきたのでこの2パターン以外の課長もそろそろ現れると思っています。
30代生え抜きエリートみたいな。現れないかな?
課ではトップですが経営管理職では新米みたいなポジション。
本社と現場の板挟みに合いそう…
すごい優秀で本社勤務前に現場経験を積ませるとかで赴任してきた人も、
運悪くプラントでトラブルが多発してしまい本社勤務が取り消し→どっかの関係会社とかに飛ばされたりもあったりします…こわE
係長
係長は運転・現場のトップです。
オペレーター
↓
交替勤務のリーダー
↓
平日勤務
↓
係長
といった感じでなることが多く、まさに現場のことを知り尽くしているイメージ。
今まで現場畑で育った人がいきなりマネジメントもやるので苦労するパターンも多く見ます。
あの人、直のリーダーだった時は頼もしかったけど係長になったらあれだねみたいな。
課長が現場のことを知らないと運転のことは丸投げされ、現場オペレーターからは最終的な判断をゆだねられ…
大変なポジションだと思います!
運転担当
プラントの運転関係の面倒を見ます。
運転状況を確認して、交替勤務者に指示を出したりするのはもちろん
生産量を他課と調整したり、検討業務のテストランを計画したり、トラブルが発生したら影響がある課との調整等をすまして応急対応→その後の原因追及や再発の防止まで…
結構いろいろやります。なんでもやります。
優秀な人は高卒や高専卒なのにスタッフに近い業務をやったり。
他課との打ち合わせも多く、落ち着いて仕事ができるのが定時後になる時もあり大変ですが、やりがいもあるポジション。
保全担当
プラントの設備関係の面倒を見ます。
交替勤務から出てくる保全依頼を確認して対応、対応できなければ設備管理課などと調整して対応します。
また定期修繕の準備も最前線で行います。
工事内容を確認して養生・パージ作業の範囲を決めたり、仕切り板の挿入箇所を決めたり、定修が近づくほど多忙。
そんな多忙な時期に設備がトラブったらもう大変です。
また改造などがあれば消防の完成検査の対応など法関係の書類なども準備したり、保全担当といえど現場だけでなくデスクワークもあります。
安全担当
安全関係を担当します。
課で発生したヒヤリなどの最終的な対応を話し合ったり、
胴巻き安全帯からフルハーネスに移行するとかそういう情報を工場の安全担当会議から持ち帰ってきて、周知したり・課で運用までもってったりはもちろん環境などの規制対応なども行います。
また、他課や他社で事故が起きたら横展開をしたり、課内の訓練をコーディネートしたり、消火設備を管理したり…
何やってんのかな?と思ったら意外と色々やっています。
安全ってどんなに気を付けてても事故が発生するときはあるし難しいなぁと思います。
スタッフ
省エネ検討や収益改善、試作やテストランの計画など様々やります。
だいたい大学院を出たような人が1年ぐらい現場を経験した後にスタッフになったりします。
配属して少しでプラントのテストランを計画して、現場歴が自分の年齢より上の人に指示を出して、それでたまにきつめのアドバイスをもらったり…
なんで大学院まで出て今まで一生懸命勉強した人が社会でも大変な思いをするのだろう、と高卒の僕は考えたりするのですがそこらへんスタッフの方々はどうでしょうか!
でも運転員の僕からしたら化工計算など色々教えていただけるし、すごく頼りになる存在です!
情報担当
システム関係を担当します。
DCS更新の準備とか、新システムの導入とかやったりします。
あとは省力化のためのシーケンスを組んだり、グラフィックを改造したり…
あとDCS系のトラブルはみんなかなり混乱するのでその時の頼りです。
私がいた会社ではだいたい他の平日勤務者が兼務だったりしたので、あまり何をやっているのか把握しきれてませんすいません。
教育担当
教育をします。
新入社員がいれば直に入る前までに基本的なことを覚えさせたり、教育のスケジュールを組んだりします。
数年連続で+新入社員がたくさん入るパターンの時には教育担当がいると交替オペレーターは結構助かります。
あとは直内の訓練関係の面倒をみたり、人によっては資格取得の手伝いまでする人も。
定年後の再雇用者がやったりするパターンと、他の平日勤務者が持ち回りでやるパターンもあります。
事務
購入依頼を出すと事務の方が発注・納品してくれたり
年末調整のとりまとめや出張費用などの精算などいろんなことをやってくれます。
仕事に集中できるのも事務員さんのおかげ。
派遣の人が担当してくれたりが多いです。
平日勤務者はシフトブレーカー
平日勤務者はシフトブレーカーを兼務するのがほとんどです。(課長・係長・スタッフ・事務員さんは除く)
シフトブレーカーとは交替勤務で有給とか体調不良で休む人がいたら代わりにその日だけ直に入る仕事です。
基本的に直の補充は直で回す!という課と、直員の休みは積極的にシフトブレーカーに補充させる!というのは課の方針により異なります。
朝出社してすぐに「○○社員が夜勤これなくなったから、今から帰って寝て夜勤来てくれ!」みたいなことがたまにあったりします。笑
化学メーカー製造課の各担当 役割【交替勤務】
続いては交替勤務者の役割を紹介します。
交替勤務者はプラント運転の最前線。
昼夜を問わず稼働している装置を運転するということは思った以上に精神的プレッシャーがかかります。
そんな交替勤務者はだいたいこのような組織です。
直リーダー
交替勤務のリーダー。
プラントすべての運転状況を把握しています。
頭の回転早すぎる人が多いです。ビビります。
直接プラントを運転するというよりは判断や管理が仕事で、だいたいどこでも「夜の工場長」といわれます。
主任、職長、直長、組長、班長など会社によって様々な呼び方があります。
交替勤務手当とあいまって係長よりも稼ぐと言われています。
だいたいみんな「リーダーにはなりたくない!」といわれてしまう大変ポジション。
リーダーが判断しやすいように現場やパネルは正確な情報とどうすべきかの案を出すことが重要です。
リーダー補佐
直リーダーの補佐です。
リーダーはとちらかというとずっとパネルにいてデスクワークやパネル担当の相談にのったりしていますが、補佐は現場をまとめます。
忙しい担当があれば手伝いますし、新人が自信がないとあれば現場に行って教育します。
現場の細かい状況を把握し、リーダーの暴走があれば止める。
かなり重要ポジションです。
新人リーダーの下にはスーパーベテラン補佐がついたりします。
パネル担当
パネルで装置の運転調整などを行います。
だいたい現場を習得したら、その現場に対応するパネルを覚えるのが一般的。
さまざまな値やトレンドを確認して現場に指示を出したり、品質規格を守りつつできるだけ省エネになるような運転を心がけます。
見慣れないアラームや「この指示がこれ以上下がったら装置が緊急停止するよ!」みたいなアラームが鳴ると冷や汗、動悸、手の震えが半端ない。
指一本で巨大な装置を動かして利益を出すというのはすごい仕事だなと思います。
パネル担当が好きな人と、現場担当が好きな人と結構わかれます。
私は圧倒的パネル派。
会社によってはボードマンとか言ったりもするそう。
現場担当
最前線!現場です。
フィールドマンともいいます。
新入社員はまず現場から始まります。
トラブルがあれば雨の日でもカッパも着ず飛び出します。
すごい極端な言い方をするとバルブを開け閉めしたりが仕事なのですが、1個のバルブを重要さときたら…
操作バルブを間違えると装置は止まるし、最悪事故が起きます。
ですから現場はプラントの基本であり、最も重要なポジションといってもいいのではないでしょうか!
化学メーカーの製造課は色々な担当が支えあっています。
製造=現場作業というわけでもなく、実は様々な担当があります。
現場が苦手でもシステムが得意ならそこを目指してもいいし、逆にパソコン系だめでも自主保全は任せとけみたいな人も。
ですから平日勤務だから偉いとか現場だからたいしたことない、とかはとかそういうのはありません。
あくまでポジションごとに役割があるだけ。
持ちつ持たれつってやつです!
プラントはさまざまなポジションが協力して動いているのですねっ!
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