工場地帯の近くに行くと炎が出てる謎の煙突を見かけたときはありませんか?
私も就職するまで炎の煙突を見たことがなかったので、初めて見た時は
「え、あれって炎が出てるけど大丈夫なん!?」
とビビったものです。
しかも炎が大きくなったり、黒煙が出たりするもんだから何か怖い!
この記事では
- 炎が出てる謎の煙突の正体
- どんな時に炎が大きくなったり黒煙が出たりするのか
こんなことをできるだけわかりやすく紹介したいと思います!
炎が出る謎の煙突の正体とは?
まず火が出てる煙突のことをフレアスタックといいます。
プラント界隈の人はだいたいフレアと呼んでいますね!
直訳すると
- フレア(炎)
- スタック(煙突)
です!
なぜフレアスタックが必要なのか?
なぜわざわざフレアスタックを設置して炎を燃やしているのか?
それは石油化学製品を生産する際に発生してしまう余剰なガスを
燃焼させて無害化するためです。
余剰なガスをオフガスと言ったりします。
オフガスはだいたいメタンやエタン、硫化水素などが含まれるようなガスなのですが、それらをそのまま大気に放出すると
臭い
有害
なので、煙突の先で燃やしてしまってある程度無害化しているのです。
なぜ製品にならないガスが発生する?
なぜ製品にならないガスが発生するのか。
それは容器の圧力調整を行っているからです。
プラントでは各容器ごとに適正な運転圧力が決まっています。
圧力調整は自動弁がやってくれていて、
- 圧力が高くなれば弁を開けて圧を抜く
- 逆に下がれば弁を閉じる
といった感じで動くのですが、その弁が開いたタイミングでフレアにガスが抜けているのです。
そのガスは圧力調整で抜いているだけで品質なんて関係なく、もちろん製品にはなりません。
どんな時にフレアの炎が大きくなる?
フレアの炎が大きくなる原因として考えられるのは
- 運転変動に伴う圧力調整でフレアに逃がすガスの量が多い
- 装置が緊急停止した際に、安全のため圧力容器の高圧ガスをフレアに逃がしている(緊急脱圧)
- 安全弁が噴いてフレアにガスが逃げている
- 定期修繕準備に伴う配管のパージ操作でフレアに大量のガスを逃がしている
こんな感じで燃焼するガスが多いほど炎は大きくなります。
どんな時にフレアの黒煙が発生する?
フレアは不完全燃焼を防止するために、ガス量に見合った蒸気を吹き込んで空気とガスをいい感じに混合しているのですが
急激にガスが増えると蒸気の調整が間に合わず、不完全燃焼を起こしてしまい黒煙が発生してしまいます。
なので炎が大きい+黒煙が発生している時は装置の緊急停止など何かしらのトラブルの可能性が高いです。
フレアガスの回収で省エネ
ここである疑問を持つ方もいらっしゃると思います。
それは
「そんなに燃えるガスがあるなら工場で燃料として再利用すればいいんじゃない?」
ということ。
まさにその通りです!
平常運転時はフレアガスを回収して工場で燃料ガスとして使用しています。
※莫大な設備投資が必要なため、回収してないプラントもあるかもしれません
ガスを回収してるって言ってるけど、いっつも小さい炎が燃えてるよ!
小さい炎は「パイロットバーナー」といわれる火で、いわゆる”種火”です。
緊急時などに回収しきれないぐらい大量のガスがフレアヘッダーに流れてきた際に、メインバーナーにスムーズに点火するために常時小さい火を点けておきます。
フレアスタックはプラントには必要な設備
というわけでフレアスタックはプラントには重要な設備です。
プラントのオペレーターはできるだけ無駄なガスを出さないように努力はしていますが、それでもトラブル発生時は炎を大きくしてしまうこともあります。
その際は夜なのに眩しかったり、燃える音がうるさかったりするなど近隣の方にはご迷惑をかけてしまうこともあるかもしれませんが、
そんな時は工場で作業している人もトラブルを一生懸命どうにかしようとしてるんだなあと思っていただければ…!
ちなみに…
出勤時にフレアが大きいと「トラブルか…」と憂鬱になります。
コメント
コメント一覧 (1件)
色々な何故が分かりました。
ありがとうございました。